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「ありがとう。」
大声をあげてしまった恥ずかしさと主任の優しい微笑みが間近にあって、一気に体中に熱が巡る。
「遠距離の彼氏でしたってオチもなさそうだし、ホッとしたよ。」
私の真っ赤であろう額に主任が眼鏡をサッと片手ではずし、コツンと自分の額を当てた。
「しゅ、にんっ。」
恥ずかしすぎて、心臓が痛いほど高鳴る。
「年甲斐もなく必死になってでも、俺は岬さんがほしかった。
ねぇ…、やっと、俺のもの?」
名残りおしそうにゆっくりと離れた主任が私を覗きこむ。
その言葉に胸がキューっと掴まれるような感覚が走る。
そうだ、私の好きになったこの人だ。
他に心に決めた人がいるのに、こんな事を誰にでも言うような人じゃない。
主任の着ているTシャツを両手でギュッと掴む。
「…岬さん?」
「…私、今日聞いちゃったんです。主任には、心に決めた人がいるってっ。」
答えを聞くのが恐くて、目をギュッとつむる。
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