よっちん×ゆきんこ

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「ばか」 「あほ」 「まぬけ」 「とんま」 「宇宙のゴミ」 「宇宙のチリ」 これは子供のケンカではない。 いい歳した大人、28歳の男女のケンカである。 「ちび」 「でくのぼう」 「ぺちゃぱい」 「でかちん」 「…いや、でかちんって褒め言葉じゃないからね。勝手に照れないでよ。」 「えっ、そうなの?」 「…そうだよ。 …よっちんって、そういう感覚ちょっとずれてると思うよ。」 心底呆れた顔をしてよっちんを見た後、はぁー、と盛大なため息をついてこたつの上のたっぷり生クリームプリンの空に目をやった。 最後の一口、プリンと生クリームの比を3:1の絶妙な量で残してたのに。 「一口もらったぐらいで、そんなに怒んなよ。そもそも俺が買ってきたんだし。」 「うるさいっ。ただの一口じゃなくて最後の一口だったのに。 ばか、よっちんのばか。大嫌い。」 ふてくされてこたつに首までどっぷり潜り込む。 「ゆきんこの好きなロールケーキも買ってきてあるから機嫌治せよ。」 「えっ、ほんと!?」 こたつから飛びでて、目の前に出されたロールケーキに愛を叫ぶ。 「ラブっ!ロールケーキっ!」 「あと、ほら。パーフェクトなんちゃらの新刊。」 「えっー、なんでなんでっ!明日買いに行こうと思ってたのにっ。よっちん神っ!!大好き。」 「…さっき、嫌いって言ったのばっかのくせに。」 今後はよっちんが呆れた顔をして、私に盛大なため息をついた。
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