鉄の匂い

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…それにまた、制服に血がついている人がいる。 ガチャ そこから谷口が出てきた。 そのドアから出てきた人は、全員血がついている。ふらふらと谷口は歩き、壁にゴンッとぶつかり、ズルズル…と流れるように、ぺたんと座った。 「俺は…もう生きていけない…生きる資格がない…何てことをしちまったんだ…」 良く見ると渡部がいない。 (渡部が、死、ンだ…谷口が?まさか、殺った?) 「嘘でしょ?!なんでこんなに人が死んで、時間がたっているのに警察が動かないの?!」 思わず空は叫んでしまった。 「確かに…」 桃は静かに言った。 キィィィ… 空たちが出たドアから数名出てきた。 また、血だ。 (…鉄の、匂い…) 「イ、イヤアアアアアアアアアア!!」 桃が叫んだ。 「ねぇ…生き残ったのはいいけど、中で何しているの?」 空が聞き、 「う…う…」 隣で桃が必死に涙を抑えようとしている。 空の質問に、生き残った優加がこのように答えた。 「別に…なにも…適当に決められた」 「本当…?」 「うん」 (…嗚呼。嘘だ。絶対。なにかが、ある) 『わーこんなに減ったんですねー!』 「なっなんだよ他人事みたいに言って!」 『クスクス…だって、君のせいでしょ?』 「う…」 (どういうこと?)
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