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そこに剛がいなかったのだ。
ここまでは、一本道で隠れる場所は無かった。
もしかして、奥の角を曲がってしまったのかと思い
走って確認に行ったが、姿が見えず、
代わりに走ってきた、光樹君と鉢合わせになったが、
光樹君の通った、道も一本道で剛は見なかったと言う。
まさか、
塀を乗り越えて逃げたのかもしれないと思ったが
塀は一人で乗り越えるには無理がある事が分かった。
つまり、剛は私の前から忽然と消えてしまったのだ。
「剛はいったい何処に?」
「先生、ちょっと待って下さい。僕が通った道に小さな横道が有りました。父はそこへ消えたのでは?」
その道に行ってみると立て札に青柳林と書いてあり、ここを通れば大学近くに出れる事が分かった。
簡単に情報をまとめると
剛は曲がった後に急ぎ走って青柳林に入る横道に入った
そしてそれは光樹君に見つかる前だった。
「確かに、ここを通ったかもしれないな、
でも、もう剛も家に戻っただろう、
仕方ない、明日の昼頃に会って話をしてこよう。」
「さて、光樹君、帰るなら家まで送ろうか。鞄を持ってあげるよ。」と
彼の重そうなスクールバックを持とうとすると
「いえ、先生にそこまで気遣ってもらうわけにはいきません。
一人で帰れるので大丈夫です。」と
光樹君は帰ってしまった。
遠慮がちな性格なんだろうと思いながらその日、私は帰った。
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