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「だから、僕にはこの犯行は無理なんですよ!」
「確かに、無理だね。」
「そうですよ、先生も悪い冗談はやめて下さい。」と光樹は笑ったが
私はすかさず、
「無理だと言ったのは、あの時、君は僕の目の前にいたからさ」
「えっ」
光樹の笑い声が消えた。
「君は自分の父親に成りすました、そして私に尾行させてあたかも曲がり角で剛が消えて、自分はいま来たかの様に装った。」
そこまで聴いていた秋奈さんが
「でも、どうやって夫に成りすましたのですか?」と言った。
「茶色のコートです、亜弥さんの家のクローゼットにあった剛さんのコートを羽織って顔さえ見られなければ、夜道で視界が良くないから騙せます。」
秋奈さんは息子が犯人とは思えないらしく、更に
「でも、それらは唐津先生のご想像ですよね?
光樹がしたという物的証拠は有るんですか?」
「証拠はそろそろこちらに届く予定になっています。
あぁ、どうやら来たようです。」
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