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そこまで、喋った時、
八木は弥生からナイフを離した、
いや、
正確に言えば精巧に出来た、
偽物のナイフである。
「やっぱり、
先生にはお見通しでしたか。」
「あーぁ、やっぱり、
1、2時間で考えたのじゃ、
駄目だったね」
「君たちは何者で
何が目的だったんだ?」
「私達は、
この近くの大学の
ミステリー研究部の部長と副部長です。
まあ、
二人だけしか居ない研究部ですがね」
「今日、こんな事をしたのは、
研究部が廃部になってしまうのを
防ぐ為にやった事だったんです。」
「それはどういう事?」
「はい、
研究部が廃部になると
通知を受けた私達は、
すぐに抗議に行きました。
そこで、
言われたのがミステリー研究部の
実力テストです。」
「実力テスト?」
「それは、
この近くに探偵事務所があって、
そこの探偵を欺ける様な
ミステリーを作ってみろと、
言われて作ったのを
今回、
実践したという訳でして、
こうしてこっそり鞄にカメラも
隠して撮っていたのです。」
「先生がお金を渡したら、
すぐに事情を話して
謝罪するつもりだったんです。」
「でも、
その前に先生が謎を解いてしまった、
これで僕らの研究部も
残念ながら廃部です。
でも悔いはありません。
だって最後に素晴らしい、
推理を聞く事が
出来たんですから。」
「私も先生に会えて
良かったです。
今日は大変お騒がせしました、
失礼しました。」
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