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この子が人間じゃないなんてあり得ない。しかし、くどいようだが、人間は100%と思い切れない。
「人間だけど、みけはなんなの?」
「わたしは……わたしは、海猫族」
「……鳥?」
「え?鳥じゃないよ、海猫だって」
「ち、ちなみに、どこから来たの?」
「来たっていうより、いつの間にかここにいたって感じなんだけど……」
ごめんなさい。
「でも、前は海にいたよ?」
「…海辺にいたって事?」
「違うよ、海の中だよ?」
「………マジで?」
「本当だよ?」
またしても、微かな1%が俺に突撃してくる。半ば冗談でもあったそれは、俺には刺激が強過ぎた。が、ここまで来てしまうと、もはや信じるとか信じないとか、どうでも良くなってくる。寧ろ、何が冗談で何が本当なのかも分からないでいる。
だとすれば、俺が一番訊きたかった事、訊いてもいいよな?ここまで来たら、もう訊くしかないよな?
「じゃあ、さ。その耳って本物?」
「そうだけど、なんで?」
あまりにもあっさりした返答。しかし、気持ちはよくわかる。たった今同じような質問をされたからだ。そうだよな、多分彼女もさっきの俺と同じような感覚なんだろうな。
「それじゃあ、動くの?」
「ぇ?うん」
そういうと、彼女はおもむろにその’耳’をピクピクと動かした。流石にこればっかりは納得せざるを得なかった。ここまで滑らかな動きは、機械じゃ絶対に出来ない。
「マジかよ……」
呟いたそれは、誰の耳にも届く事なく、消えた。それと同時にこみ上げてくるなにかを全身で感じていた。
もう冷静にいてられない、何を隠そうある意味でだが、願いが叶ったからだ。形は違えども、猫耳の女の子を拾った。しかも海から来たんだろ?返さなくていいじゃん!うおおおお!まじか!すげぇ!
押さえられない興奮を、どうにかして押さえ込めた。落ち着け、そして馬鹿な事を言うな。返さなくて良い訳ないじゃないか。
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