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ファナード大陸から離れた小さな島の一つ、島の名は【ブラーク】。
他の島より漁業と稲作が盛んな島国で、人口はおよそ300人しかいない。
日差しが差し込む民家の窓から1人の少女が外を、目の前に広がる大海原を眺めていた。
「はぁー、今日は波が静かすぎる…」
少女の手には身長より長い銛が握られており、ふてくされた表情で家の中へと戻って行った。
銛を壁に掛け、ため息を吐きながら深く腰かける。
(今日もダメ…これじゃ、いつまで経ってもーーー)
顎に手を当てながら指で机をトントンと叩く少女。数秒繰り返していると、家の外から大声が聴こえた。
「ーーーた、大変だぁ!島の南浜辺に、あ、アーケナンが現れたぞ!!」
男性の声にいち早く反応した少女は、すぐさま長銛を持ち外に飛び出す。
アーケナン。
魚の体に鋭利な牙を持つ魚類であり、陸にも上がれるいわば水陸両用の生物。
体長6メートルまで成長し、時に人間を襲う肉食魚。
その怪魚を、少女は永年捕らえることを待ち望んでいた。
「ようやく姿を現したわね。やっと、奴を倒せる!」
高ぶる殺意と憎悪が少女の身体を軽くし、より速く目標へと進んでいた。
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