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いつまでもここに居ても、肌が真冬の気温に合わせてどんどん冷たくなっていくだけだ。
「……帰ろうかな。」
小さく呟き、家路につこうと踵を返した瞬間、人の声が聞こえた気がした。
………否、確かに聞こえた。
「て、いて、どいて!!!」
ぼーっと現を抜かしていた頭でその言葉を理解した瞬間には、時既に遅しと言ったところだろう。
雪が抉れる水音と共にガシャンという凄まじい音が耳に届く。
そして、一拍遅れて脳に発信された腹部への衝撃。
何がなんだかわからない、というより一瞬の出来事で理解が追いつかない。
そう思っている間にも後ろによろけた青年の体は、先ほどまで眺めていた枯れ木に背中から衝突した。
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