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「痛っ……」
ずる、ずる、と枯れ木に寄りかかるようにしゃがみ込む。
と同時に細い木の枝に積もっていた雪が落下し、真下に座っていた青年の頭の上に小さな白い山を作る。
辺りが静寂に包まれる。
とりあえず、状況を把握しようと青年は頭上に積もった雪を払い落としながら己の正面でうずくまるソレをじっと見つめた。
よく見ればそれは、まだ幼さの残る少女であった。
少女は丸く澄んだ瞳をぱちくりと2、3度瞬かせ、そして見る見るうちに顔を青ざめさせた。
「あの……!あの…!!す、すみません!!えっと……わ、私自転車慣れてなくて……それで、えっと……雪で滑って…っていうか、そもそもこんなに滑るとは思わなくてですね…?それで……」
少女は瞳に涙を溜めながらせわしなく腕を動かし弁解し、細い首が折れてしまうのでは…と思うほど頭を振り乱し謝罪。
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