6人が本棚に入れています
本棚に追加
「二人とも、こんなところに来てまで喧嘩はやめなさい」
声とともにドアが突然開き、背の高い男の人が入って来た。
少し長めのマリンブルーの髪を後ろで一つに縛った、深い藍色の瞳の男の人だ。
今度は二人とも状況がわかってきていたみたいで、それが誰だかすんなりわかったようだ。
「ポセイドン! 先に起きてたのか」
「ええ。二人とも起きなかったので少しこの家の中を調べていました」
「それで、何かわかったのか?」
「まあ、少しは」
そう言って彼は何枚かの写真を取り出した。
そこには髪と目の色は違うが、今の彼ら三人の姿が写っていた。
「ここの家は父親と二人の子供で暮らしていたようです。二人の子供は双子で、今年高校生になったばかりのようですね」
「双子ぉ?」
ゼウスとハデスは声をそろえて叫び、
「ふざけんなよ! 何で俺がこんなやつなんかと……!」
「それはこっちのセリフだ馬鹿ハデス!」
また仲の悪い二人が言い争いになった。
と、その時。
「さっきから喧嘩ばっかりしてるけど、君達自分の状況わかってんの?」
庭につながっている大きな窓がガラリと開き、茶色い柴犬が顔をだした。
「うるせーよ、お前には関係ないだろ!」
「そうそう、犬なんかにわかる問題じゃ……」
(……え?)
ゼウスは言いかけてその不自然さに気がついた。
ハデスも同じ事を思ったようで、その柴犬の事をまじまじと見ている。
「……犬?」
最初のコメントを投稿しよう!