《1》はじまり

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その野次馬は当事者の安全を心配したり、配慮してるわけじゃない。本人たちの好奇心と噂のタネ探し、それだけ。 そして私もそんな人間の1人だった。 「あー、もう。今日どうやって帰ろう。仕事どうしよう。もう、なんで…」 どうしようもない弱気な言葉ばかりが口からこぼれる。 帰宅方法すら、まともに思いつかない。このまま片手に壊れたヒールをぶら下げて、裸足で歩いて帰る?徒歩なら軽く1時間はかかるのに?そんなの、無理だ。そんなに歩く気力なんて、今の私はとてもじゃないけど残ってなかった。  
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