-第一輪 ............-

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 村の入口で立ち往生する痣達。  木々だけが生い茂り、家すら見当たらない。ほんとにここが村なのか信じれない状態。  しばらく狼狽えている。はたから見たら怪しい団体だ。  と、その様子を見ていたのだろう。呆れた様子で現れたのだ。 「お客さんか?」  突然、上の方から男の声が降ってきた。痣達は肩をびくつかせ、慌てていたが、一人また一人と上を見上げ始めた。その様子にクスリと笑ってしまう。 「ぁ」  声が漏れ出た痣達は、声の正体を知ると共に、村の全貌が見えたのだ。  村は確かにあったのだ。それは、生い茂る木々を利用し、木造で出来た平屋の家が幹の分かれ目を利用して建てられていたのだ。かつ、木々へ木々へと行くために吊り橋が掛かっていた。これなら、下から行く理由はない。しかし、下から上へ上がる為の梯子や階段は見当たらない。  そんな一軒家から覗いていた男性が舞空術を使って、痣達の前に舞い降りた。  しかし、まず見に入ったのが、彼の左肘から下が、綺麗に無かったことだった。  何処にでも居そうな男性。短髪に半袖にジーパン。しかし、その髪色は、青薔薇の髪色より濃い、群青色。そして、瞳の色は、マゼンタ。その明るい瞳にも目が行ってしまう。ここの村人達も何処かの一族のようだった。
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