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「こんな所にお客さんなんて、初めてかもしれない...なんだい。こんな時に」
こんな時。きっと悪魔の子と呼ばれた青薔薇が帰ってきたという訳なのだろう。薔薇達に力が入る。
「...仲間を、探しに来た」
黒薔薇がそう口を開いた瞬間、男の表情が変わった。
咄嗟に距離を置かれ、鬼の形相となる。痣達は、その威圧に息をするのも忘れる。
「...悪魔の子の仲間だと?!...出て行けっ!!」
痣達は動揺を隠せない。
「ま、待ってくれ。何がどういうことだよ?!説明してくれ?!俺達も青薔薇が居なくなって訳が分からないんだ!!」
ハッと、橙薔薇が叫んだ。肩に乗るクロウドがカーカーと鳴く。
「......お前ら、右腕を見せろ…」
痣達は眉を顰めた。しかし、このままでは話が進まない。男の言う通りに、痣達は右腕の裾をたくしあげた。
「......」
男はその距離から目を顰め、痣達の腕を凝視していた。
ふと、紫薇は気付く。
青薔薇に巻かれた布が、見当たらないことに。解けてしまったのかと思えば、痣が、そこに無かった。
な、なん、で...。
紫薇は、今は言わないでおこうと、察した。
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