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腕を確認した男の警戒が解け、こちらへ歩み寄ってきた。痣達は袖を下ろす。
「皆、何処かの一族の集まりなんだな。済まない。悪魔の子と同じやつらが何人かいると聞いていたから、疑ってしまった」
深く頭を下げた。
それを聞いた痣達は、無意識にアイコンタクトを交わす。
痣。ここでは禁句のようだ。バレてはいけない、と。しかし、名前を言ったらバレてしまうんじゃないか、と不安が過ぎった。
「...俺の名は、エテンだ。この村の成り立ての村長...いま、ちょっと、この村立て込んでるんだ。気が立ってて悪いな。ちょっと、そうだな、アイツの仲間と言うのなら…“最期”に会わせてやる」
エテンの言葉に痣達は驚いたが、次に浮かんだのが、殺意。しかし、それは直ぐに治まった。百合達にも殺意が湧いた。それは本能的な、心の奥底から、言葉に出来ない。
エテンは、痣達の名を特に聞く訳でもなく、踵を返し、歩き出した。どうやら、青薔薇は木の上には居ないようだ。
着いていくと、道を外れ、淡い霧の中を進んでいく。はぐれてしまいそうで怖い。
そして、辿り着いた。
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