-第一輪 ............-

12/12
前へ
/12ページ
次へ
 腕を確認した男の警戒が解け、こちらへ歩み寄ってきた。痣達は袖を下ろす。 「皆、何処かの一族の集まりなんだな。済まない。悪魔の子と同じやつらが何人かいると聞いていたから、疑ってしまった」  深く頭を下げた。  それを聞いた痣達は、無意識にアイコンタクトを交わす。  痣。ここでは禁句のようだ。バレてはいけない、と。しかし、名前を言ったらバレてしまうんじゃないか、と不安が過ぎった。 「...俺の名は、エテンだ。この村の成り立ての村長...いま、ちょっと、この村立て込んでるんだ。気が立ってて悪いな。ちょっと、そうだな、アイツの仲間と言うのなら…“最期”に会わせてやる」  エテンの言葉に痣達は驚いたが、次に浮かんだのが、殺意。しかし、それは直ぐに治まった。百合達にも殺意が湧いた。それは本能的な、心の奥底から、言葉に出来ない。  エテンは、痣達の名を特に聞く訳でもなく、踵を返し、歩き出した。どうやら、青薔薇は木の上には居ないようだ。  着いていくと、道を外れ、淡い霧の中を進んでいく。はぐれてしまいそうで怖い。  そして、辿り着いた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加