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そんな中、黒百合は、珍しく自らの左腕を露出して、その腕を見つめていた。
左腕、上腕二頭筋から橈側手根屈筋にかけて、青薔薇の文字でしかも油性ペンでメッセージが書かれていた。
【腕、お綺麗じゃないですか】
と、青薔薇らしい言葉だった。
出逢い始めにくらべ、青薔薇の変態度が増してきている、と薔薇達は思った。
『くっ、しかも油性ペン...』
青百合が消してあげようしていたが、擦っても消えるはずはない。油性ペンなのだから。
黒百合はというと、怒る訳でもなく、ただただ腕を凝視し、黙り込んでいた。
皆が、哀れんでいる中、一人、黒百合の様子に気付く。
黒百合が、左頬を膨らませていたのだ。
一応、落書きではあるか、彼女を褒めている青薔薇のメッセージ。褒められ慣れていない彼女。きっと、どう反応すればいいのか分からなかったのだろう。そんな女性らしさがほんの一瞬、垣間見えたのだった。
ーーーテントを張れる場所を探す痣一行。
木々を少し抜けたと思うと、大きな大樹が突然、姿を現した。
まるで、魔法習得時にお邪魔したナリサの住む森の木々に似ている程、大きな大樹だった。
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