無塵島殺人事件File1

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「うはぁ…真っ暗だ。」 「当然であります。 まだこの洞窟には手を加えられていないのです。」 「手を加えられていない?」 「はい。 そのための懐中電灯でございます。」 「ねぇ、竜之介…。 何も出ないよね…?」 ガタガタと振るえる華夜。 「あっ! あんな所に骨が!」 「嘘!? キャー!」 「嘘だよ。 バーカ。」 「もぉ! 子供みたいな事しないでよ!」 「やれやれだね…。」 「本当、見てて飽きないわ…。」 二人の姿を見て絵里と由奈は呆れて溜息を吐いた。 「俺らも探そうぜ! 金銀財宝が俺を待っている!」 「鉱石は金銀財宝じゃないよ…。 まぁそれだけの価値があると言う意味なら否定はしない。」 「藤堂さん、何でこの場所に鉱石があるって分かったんだ?」 「あっ…またタメ口を…。 もぉ…竜之介。」 「この場所が焼ける前に…一人の男がこの洞窟からその一部を見つけたそうです…。 火災でその男は亡くなったそうですが。」 「へぇ…。 誰かがその人から鉱石を奪う為に火を放った。 って事も考えられると言う訳だ。」 「そうとも…考えられますね。 何も無くなった島に調査に来た警察は、その男の死体の手の中から鉱石のかけらを発見したそうです。」 「そうそう。 それでそこには鉱石があったんじゃないかって報道されたのよ。」 「放火犯は捕まったのか?」 「それが誰かが意図的に放火したって言う証拠も無かったし、集落もあったって言うじゃない? 島民の火の不始末で片付けられたんだって。」 「…。」 「竜之介?」 「いや…。」
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