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結局、その日の探索でそれらしい物は発見されず…。
参加者達はそれぞれ違う場所にテントを張り、寝袋に入った。
竜之介視点。
「懐中電灯だけじゃやっぱり真っ暗だ…。
まだ6時半だってのに。」
自分の声以外は何も聞こえない異常なまでに静かな空間。
昼間の探索活動で腹騒ぎがし始めたので、食事にする事にする。
「昼も夜も食事が缶詰なんて家でも無いよな。」
文句を言いながらも、缶切りで缶詰を開け、割り箸で中身を口に運ぶ。
「他の奴らはどうしてんのかな?」
気になるが、一度寝袋に入ると出るのも面倒に思えて来る。
が、途端に自分のテントに向けられた、懐中電灯の光りに思わず戦慄する。
「誰だ!」
電灯の持ち主はその声にびく付いているようだった。
「華夜か…。」
何と無くだがそれが分かった。
「うぅ…。
やっぱり怖いよぉ…。
こんな所にテントで一人で寝るなんて。」
「やっぱりお前か。
由奈か絵里の所にでも行けよな。」
「うぅ…。
場所分からないしこれ以上うろつくの怖いし…。」
「ったく…。
いつもいつも。
怖いんなら来るなっての。」
「だっ…大丈夫だもん。
竜之介が守ってくれるんでしょ…?」
「ったく…。」
「テントって鍵とか無いし寝込みを襲われたらと思うと怖くて…。」
「確かに約一名疑わしい奴は居るな。」
「うん、小橋ならやりそう。」
「おいこら、お前ら酷いぞー。」
二つ目の懐中電灯の光り。
持ち主は啓太だ。
「お前らって俺は名前出して無いぞ。」
「じゃあ誰が怪しいって?」
「さぁな。」
「あっ…お前!」
「でも…理由はどうあれ一人で寝泊まりするのは確かに危険かもしれないね…。」
三人目に哲也が顔を覗かせる。
「俺は襲わ無いぞ?」
口をとがらせて啓太が言う。
「そうじゃない。
あの連中は我先に鉱石を手に入れようと必死だ。
夜中の内にライバルを減らして鉱石を一人じめしようって考えの奴が現れ無いとも限らない。」
「まぁ、その通りよね。」
同時に二つの懐中電灯の明かり。
由奈と絵里の二人。
「丁度良かった。
お前ら華夜を連れて帰れよ。」
「あんたそんな状況に非力な女三人を固めるつもり?」
由奈が呆れた様に言う。
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