52人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあどうすんだよ?」
「彼女の言いたい事はつまりこう言う事だろう…?
丁度男女比は3:3だ。
男女二人ずつの三ペアを作って寝ろ…と言う事だろう…?」
「流石小城君!」
「でもそれだとどうやって分けるの…?
華夜は高峰で、小城君が由奈となるとあたしが貧乏くじじゃん。」
絵里が怪訝な顔で溜息を吐く。
「びっ…貧乏くじとはなんだよ…。」
「そんなに言うならくじ引きで決めりゃあ良いだろ?
恨みっこ無しじゃないか。」
面倒なので妥協案を提示する。
「そうね。
これで選ばれればある意味運命かもよ?
華夜。」
からかう様に笑う由奈に華夜は赤面し口ごもる。
「そう言う由奈も…なんか期待してんの?」
からかう由奈にじと目で言葉を吐き捨てる絵里。
「わっ…私は別に期待なんか…。」
「簡単なくじを用意した。」
哲也がボールペンで割り箸に印の様な物を書いた物を見せる。
「ルールは至ってシンプル。
同じ印の箸を取った二人がペアだ。」
「それは良いけど何で割り箸三本しか無いんだぁ?」
「簡単な理屈だよ。
六本の割り箸で一気にやったら男同士や女同士のペアが出来る。
だから、この三本の割り箸を、男女順番に引けば良い。
簡単だろう?」
「あっ…あぁ。」
拍子抜けの啓太を差し置き、くじは始まる。
まず男が引く。
啓太、竜之介、哲也の順番。
次に女。
華夜、由奈、絵里の順。
結果、くじで組み合わせはこうなった。
竜之介、由奈ペア
啓太、絵里ペア。
哲也、華夜ペア。
落胆した絵里の手を引っ張りながら啓太は自分のテントの方に向かって行った。
「さぁ…僕達も行こうか。」
「えっ…うん。」
華夜の方等見向きもせずに、哲也は自分のテントの方に消えた。
「まさかあんたと二人切りなんてね。」
残った由奈は溜息混じりに言う。
「俺だって好きでやってんじゃねぇよ。」
さっきよりは賑やかになったものの…あまり良い気分はしなかった。
「どうしたのよ?
幼なじみ盗られてやっぱり複雑な訳?」
「そんなんじゃねぇよ。」
胸騒ぎを感じる。
何も無ければ良いと、叶うはずの無い期待をしていた。
最初のコメントを投稿しよう!