52人が本棚に入れています
本棚に追加
竜之介、由奈ペア。
隣の由奈は眠ってしまったらしい。
微かな寝息が聞こえてくる。
昼間の作業で疲れては居る物の、さっきの胸騒ぎの事もあり眠りに付けずに居た。
ただ、屋根を見つめる。
この島でも何か起こるのだろうか?
過去の経験上、こう言う時の自分の勘は異様なまでに的中する事を知っている。
それを思うと落ち着いて眠る事も出来ない。
腕時計に目をやる。
時間はまだ9時。
「んー…。
あんたまだ寝ないの?
明日は早いって言ってたのに。」
「先に寝てろよな。
俺の心配はいらねぇよ。」
「ん…。
なんか私も目が覚めたわ…。
元々こんな早くに寝ないし。」
「勝手にしろよな。」
「冷たいわねぇ。
折角こう言う機会なんだしちょっとぐらい話してくれたって良いじゃない。」
「はぁ…。
俺が冷たいってんならお前はちったぁ緊張感を持てっつーの。」
「何?
あんた私と二人きりで緊張してんの?」
ニヤニヤとからかうような笑みを浮かべる由奈。
「アホか!
何の為にこうして一緒に居ると思ってんだ!」
「分かってるわよ。
でもあんたが守ってくれるんでしょ?」
「だからってお前は…。」
「ねぇ、華夜って昔からあぁ言う感じなの?」
「いきなりなんだよ…?」
「だって華夜ってあんまりそう言う話しないし。
幼馴染みとしてはどうなのかなって。」
「別に…。
あいつはあいつじゃねぇか。」
「へぇ。
だって幼稚園から一緒なんでしょ?
それで何も無い方がおかしいって。」
「ただの幼馴染みだよ。
それ以上でも以下でも無い。
ってかお前…。
俺に何を言わせたいんだよ?」
「ん?
愛の告白。」
「アホか。
そんなんじゃねぇっつーの。」
「ふーん。
なんかつまんない。」
「やかましい!
俺の勝手だろ。」
「ちぇっ。
グズグズしてたら…本当に小城君に華夜盗られちゃうわよ?」
「だから何だよ。」
「もぉ…冷たいわねぇ…。
実は私見たのよ。
小城君がくじでズルしてるとこ。」
「なんだって!?
それ本当か!?」
「いっ…いきなり大声出さ無いでよ…。
本当だって…。」
「くじを引いた順番とくじの結果が丁度逆だったから気になってたが…やっぱりか。」
「何よ…。
やっぱり華夜の事が心配なの?」
「幼なじみとしてだ。
だが俺だって哲也がどんな奴かは知ってる。
心配いらないさ。」
「でもこんな事してまで一緒になったのって何か有りそうだよ。」
「…。」
最初のコメントを投稿しよう!