無塵島殺人事件file2

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「良いか? 今から俺と哲也で別荘の調査に行くからお前らはテントで留守番してろよ?」 「おーし! 三人の護衛は任せとけ!」 「ついさっきまで寝てた癖に…。」 呆れて溜め息を吐く絵理。 「二人も気をつけてね…。」 「小橋じゃ宛にならないし、出来るだけ早く頼むわよ。」 「お前ら酷いぞー。」 「へいへい。」 「やっぱり僕が残った方が良いんじゃないか…?」 「良いんだよ。 調査に啓太が付いてきても足手まといだし。 それにちょっとな。」 「高峰ー。 お前もちったぁ信じてくれよー。」 「信じてなきゃ護衛なんか任せねぇよ。 しっかり頼むぜ。」 「ちぇーっ。」 「さて…。」 四人と別れ、現場へと向かう。 「そろそろ用件を聞こうか?」 四人から遠退いてから、哲也が後ろから話しかけてくる。 「由奈から聞いたよ。 お前くじ引きの時インチキしたんだってな。」 「…。」 「お前らしく無いじゃないか。 どうしたんだよ?」 「…君は僕や、他の仲間達をいつも信じているんだね。」 「いきなりなんだよ?」 「医者は人を救う事が仕事。 それに対して探偵は人を疑う事が仕事だ。 事件が起こった時はどんな人間も疑わなければならない。 それが幼馴染みや家族だとしてもね。」 「…!?」 「私的な思い入れは推理の邪魔になる。 事件が起これば僕らは例外無く容疑者で、誰が犯人じゃないかなんて真実が分かるまで分からない事だ。」 「分かってるさ…。」 「ほぉ…?」 「でも疑うのは犯人だけで充分だ。」 「その犯人がまだ分からないから言ってるのさ。」
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