無塵島殺人事件file2

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翌日。 まだ暗い明け方に、華夜は目を開けた。 時計に目をやると、まだ6時00分。 寝不足から来る気怠さを感じるが、もう寝られそうに無い。 仕方無く寝袋から出る。 「君も起きたんだね。」 同じテントに居た小城も起きていたらしく、もう既に寝袋から出て座り込んでいた。 「おはよう。 早いね。」 「考え事をしていたら寝付けなくて…。 あまり寝ていないんだ。」 「大丈夫?」 「心配はいらないよ。」 「そっか…。」 「外に散歩に行かないかい…? 気分転換になると思うんだ。」 「あっ…うん。」 テントからゆっくりと出て二人で歩き始める。 「皆…まだ寝てるのかな…?」 「だろうね…。」 そっけ無い返事だけを返して、前を歩く小城に、とぼとぼと付いていく。 すると目の前に二つの人影が現れる。 「誰だ…?」 小城が問いかけると、相手は遠慮がちにこう言った。 「小城君…? 私よ由奈。」 「同じく絵理。」 「なんだ…。 由奈…絵理…脅かさないでよ。」 「君達も目が覚めたのかい…?」 「うん…。 高峰は寝てたし暇してたら絵理が散歩に行かないかって誘いに来て…。」 「あたしは小橋の鼾に起こされて仕方無く。 寝られそうに無かったし散歩に行こうと思って由奈を誘いに行ったの。」 「私と小城君も散歩に行こうと思って…。」 「なら一緒に行こうよ。」 「うん。 あっ…小城君?」 三人の会話に入らず先々進む小城。 「別荘の所に行こう…。 もう少し調べたいから。」 「あっ…うん。」 「ねぇ、なんか高峰みたいじゃない? 小城君。」 「もしかしたら高峰より凄いかもね。」 「竜之介は…竜之介だよ。」 「どうしたの? 華夜。」 「うぅん。 何でもない。」
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