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テントの辺りまで戻ると、二十田と湯沢の二人が既にテントを出ていた。
「あっ、お前らどこ行ってたんだよー。」
啓太も出て来て手を振りながら駆け寄ってくる。
「はぁ…。
小橋…あんた今更起きたの?」
「なはは…」
「昨日は勝手な事をしてすいませんでした…。」
湯沢が深々と頭を下げる。
「頭を上げてください。
もう過ぎた事だし…そのおかげで船が流されていた事も分かったんですから。」
「はい…。」
哲也の言葉に少しは楽になった様だが、まだどこか落ち着かない様子の湯沢。
「まだ起きて無いのは石沢さんと色部さんと鷺森さんか。」
「あら、皆さんおはよう。」
眠たそうに目を擦りながら、鷺森がテントから顔を出す。
「後二人だね…。」
「一応起こしに行こうぜ。
固まった方が良いだろう。」
「ねっ…ねぇ。
あれっ!」
突然華夜が一方を見てへたれこむ。
全員がその方向を見ると、一つのテントに赤い何かが散っていた。
「おい…。
あれ血じゃないか…?」
慌てて竜之介がテントに向かい、開く。
するとそこには顔面に金属の箱を落とされ顔を潰された色部勝木の姿があった。
「色部さん…。」
「そんな馬鹿な…。
この箱はさっきまで倉庫にあった筈なのに…。」
小城が動揺を隠せずに呟く。
「なんだって…!?」
「うん、私達も見たわ…。」
小刻みに震えながらも答える由奈。
「どう言う事だ…?」
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