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後日。
俺は稲本警部に呼ばれて、喫茶店に来ていた。
「今回も大変だったなぁ、高峰。」
気さくに笑う孝明が恨めしくも思えるが、こらえて素っ気なく返す。
「笑い事じゃねーし。」
「すまんすまん。
色部は昔、藤堂の会社に勤めとったらしい。
それが縁で手を組んだそうだ。
今離れているのはその関係を隠すためだったらしい。」
「成程。」
「あの島は警察が片付けて何も無くなっちまった。
本当の意味で二つの意味のむじんとうになっちまったよ。」
「石沢さんはどうなったんだ?」
「自分がやった事を認めて罪を償う意思を固めとるそうだ。
しばらくは出てこれんだろうが…。
まぁ彼次第だな。」
「そうか…。」
「あの島はどうなるんだろうな…?」
「さぁな…。
所有者も居なくなった今。
忘れられていくだろう…。
あの島は呪われているのかもしれん。
これ以上あの島を掘り起こす人間も現れんだろう。」
「…。」
「成程…。
そうして島は無人島に…無塵島になっていくんだな…。」
「あぁ。」
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