52人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっ、そうだ。
なら小城君は?
こないだは高峰とかぶってたじゃん。」
「小城…?
そいつは一体…?」
「小城哲也。
高校二年生。
小城総合病院院長の息子です。
自己紹介はこれぐらいで良いですか?
稲本警部。」
「じゅっ…充分です。」
「僕が推理するのは構わない…。
ただ僕は素人だ。
彼の様には出来ない。」
「おっ…お願いします。」
哲也から発せられる威圧感の様な物にたじろぎっぱなしの孝明。
「解決してみたくなりました。
この事件を…ね。」
「そっ…そりゃどうも…。」
「死体を見せてください。
何か手がかりがあるかもしれません。」
「あっ…あぁ。
もう運んだから写真で良いか?」
「お願いします。」
「おっ…おぅ。」
孝明から写真を受け取り、見る。
「ん…?」
「どうかしたの?」
心配そうに声をかける華夜。
「稲本警部。
被害者のボタンが外れてますね。」
「あっ…あぁ。
そうなんだ。
制服の第2ボタンが外れていてな。
現場に落ちていたよ。」
「だっ…第2ボタン!?」
突然大声を出して驚く由奈。
「どうしたんだい?」
「昨日…その話をしたばかりなの…。
第2ボタンを外す事は彼女募集中って意味だって…卒業の時に第2ボタンをくださいって告白がある事とか…。
殺された人、イケメンで結構モテてたらしいし、もしかしたらフラれた腹いせに誰かが…。」
「…。」
「そんな事は偶然だ!
おおかた揉み合いになった時に取れたんだろう。
それが第2ボタンだっただけだ。」
「そうでしょうか?」
「へ…?」
「もしそうなら、被害者では無く犯人のボタンが落ちているのが自然では?」
「まっ…まぁな。」
「成程。
その矛盾もこう考えれば説明が付く。
所で稲本警部。
容疑者は絞れてるんですか?」
「一応二人だ。
他の人らより帰ったのが遅かった二人だ。」
「それは男女ですか?」
「あっ…あぁ。」
「堀内博之と中富百合の二人だ。」
「だったら第2ボタンは見たてで彼女が…?」
由奈がおずおずと言う。
「もう君達は考えなくても大丈夫だよ。」
「え?」
「竜之介の言い方で言うなればピースは全てハマった。」
「すっ…凄い!」
「ヒントは、この男女で微妙に違うボタンのデザインと、事件の時現場は真っ暗だった事だ。」
「えっ…?」
最初のコメントを投稿しよう!