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「犯人は堀内君。
君だね?」
「なっ…なんで俺が…。」
「ボタンだよ。
事件の時君は揉み合いになってボタンを落としてしまったんだ。」
「しかし小城。
奴のボタンは全部付いてるし、オマケにボタンが外れていたのは被害者だ。」
「ふぅ…。
刑事さんはこれだけのヒントが出ても分からないんですか?」
「そっか…。
犯人は事件の時に抵抗した被害者にボタンをちぎられてしてしまった。
翌日現場でボタンが見つけられたらまずいと思った犯人はとっさに被害者のボタンをとって自分に付けた。」
孝明の代わりに華夜が言う。
「なっ…成程。」
「その通り。
警部さん。
発見されたボタンから指紋をとって見てください。
動かぬ証拠になると思いませんか?」
「負けたよ。
俺がやったんだ…。
俺から彼女を奪って幸せに生きてるあの男が許せなかった。」
「堀内君。
人は皆幸せになる権利はあるんだよ。
それが悪人でもだ。
他人の幸せを嫉む心で君は人を殺したのなら、それは復讐で、それで君が幸せになれたのなら僕は何も言わない。
ただ君が罪を認めないのならこれは被害者だけでなく君にとっても不幸な事でだろう。
君が殺した人間はもう戻らない。
そして君が人を殺したと言う事実は二度と覆らない。
君は人の幸せを嫉むあまり、自分の幸せさえも消してしまったのかもしれないね。」
「…。」
「どちらにしろ今君が出来る事は償う事だけ。
償う事が幸せと呼べる事かは分からないが、償う事で自分自身の過ちに気付けたのならそれは君にとって一つの成長なのかもしれないね。」
「あぁ…。」
「君にとってそれは不幸でも、成長する事は不幸では無いのだから。」
「…。」
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