無塵島殺人事件File1

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「へぇー。 それで臍曲げてる訳ね。」 「別に臍なんて曲げてねぇよ。」 「そうですよ! 私はただ…。」 「それにしても随分集まったみたいね。 まぁ多いに越した事は無いけど。」 「旅費は頼むよ。 それより聞いたぜ。 何でもこの島曰く付きらしいじゃん。」 「抜け目無いわね。 まぁ旅費は出すんだから文句は無いでしょ?」 「まぁね。」 「まぁ、二人が思ったより元気そうで何よりだわ。 あの事件の後また落ち込んでるんじゃないかってちょっとは心配したのよ?」 「事件?」 哲也がそれを聞いて聞き返す。 「あぁ、これまで幾つもの難事件を解決に導いた名探偵、高峰竜之介とはコイツの事だ。」 「啓太、そう言う台詞は自分がそうだからこそ言える台詞なんだぜ。」 「…へぇ。」 「しっ…始まるわよ。」 「お集まりの皆様。 本日は私が所有する無塵島鉱石発掘ツアーにご参加頂き誠にありがとうございます。 私がこの島を買い取った所有者の藤堂です。 早速島に向かいたい所ですが…。 ツアーの前にあらかじめ注意をさせて頂きます。 島には一切の発火物を持ち込まないでください。」 「おいおい、火が無かったら食料はどうするんだよ?」 参加者の一人が文句を言い始める。 「ここに、参加者全員分のリュックを用意しました。中には食料の缶詰。 そして缶切り。 割り箸に飲料水。 懐中電灯。 その為の電池。 テントに寝袋等が入っています。 探索の為にあまり荷物を多く持つ事はオススメしませんが…着替えやその他の物をお持ちになりたい場合は荷物チェックを受けて頂きます。」 「なっ…なんでそんな事を…。」 「ご不満なら…。 お帰りになられても構いませんが。」 「ちっ…。」 「かーっ…。 徹底してんな。」 「そうね…。 いかにも曰く付きって感じ。」 「尚、電波は通じていませんので携帯電話は使用出来ません。 あらかじめご理解ください。」 「まぁ…だろうな。」 「なんか…ちょっと怖いね…。」 身振るいする華夜。 「まさしくサバイバルって感じよね。」 それを抱き留め答える由奈。 「無塵島…か。」
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