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陽が随分と傾いた初夏の夕暮れ。
少年が二人、学校からの帰り道、住宅街を仲良さげに会話しながら歩いている。
二人はそのまま会話しながら歩いていた。しばらくすると、道中にある小児科病院の側に差し掛かった。
と、不意に片方の少年が何かを思い出したように、小児科病院の方へと顔を向ける。正しくは、小児科病院の奥にある屋敷へと。
もう一人の少年は、彼がそちらへ顔を向けた理由が分からず、質問した。
「ねえ、何を見てるの?」
それに少年は答える。
「あぁ。あそこの古屋敷ってさ、何か出そうじゃないか?」
そう言われて、少年はその古屋敷へと視線を向ける。
その屋敷は平屋で瓦葺きの屋根であり、壁には沢山の蔦が根を張っている。
十数秒眺めて、少年は思った。
古いし、何か怪しい感じがすると。
少年はそれをそのまま口にする。
「うん。怪しいね。本当に何か出そう」
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