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黒いボサボサの髪の毛。
前髪は目が隠れるくらい長い。それに、レンズの分厚い眼鏡。
……その眼鏡は意味を為しているんだろうか?
髪のせいで視界がほぼ埋まっている気がする。
というか、今時こんな格好する奴いるんだな。
おたく?っていうのか?初めて見た。
じろじろと見ている間、そいつも俺の顔をじっと見てきた。
穴が空くほど……という諺を思い出して、その顔面を軽くペチッと叩く。
ちょっと、想像したら怖かったから。
「へぶっ!?い、いったー…」
顔を抑えて相手が痛がっている間に、手を振り払う。
そしたら、怒られた。
「急に何すんだよ、痛いだろっ!?」
「……」
手加減はしたつもりだったけど、俺が馬鹿力だから意味無かったのかもしれない。
今度からは気をつけよう。
密かに反省してると、またモサモサくん(命名)が怒りだした。
「おいっ、聞いてんのかっ?」
「あ、俺の事か……」
「は?何言ってんだよ?」
尾井くんじゃなくて、おい。って俺を呼んでたのか。
よく考えたらそうだ。あんまり普通の人に話しかけられたりしないから失念してた。
「悪い。で、何?」
できれば、あまり話しかけないで欲しい。
ひとりがいいから。
面倒だし、面倒そうだし。
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