勉強が趣味だから仕方ない。だから絡むな、気にするな。

4/11
前へ
/13ページ
次へ
  黒いボサボサの髪の毛。 前髪は目が隠れるくらい長い。それに、レンズの分厚い眼鏡。 ……その眼鏡は意味を為しているんだろうか? 髪のせいで視界がほぼ埋まっている気がする。 というか、今時こんな格好する奴いるんだな。 おたく?っていうのか?初めて見た。 じろじろと見ている間、そいつも俺の顔をじっと見てきた。 穴が空くほど……という諺を思い出して、その顔面を軽くペチッと叩く。 ちょっと、想像したら怖かったから。 「へぶっ!?い、いったー…」 顔を抑えて相手が痛がっている間に、手を振り払う。 そしたら、怒られた。 「急に何すんだよ、痛いだろっ!?」 「……」 手加減はしたつもりだったけど、俺が馬鹿力だから意味無かったのかもしれない。 今度からは気をつけよう。 密かに反省してると、またモサモサくん(命名)が怒りだした。 「おいっ、聞いてんのかっ?」 「あ、俺の事か……」 「は?何言ってんだよ?」 尾井くんじゃなくて、おい。って俺を呼んでたのか。 よく考えたらそうだ。あんまり普通の人に話しかけられたりしないから失念してた。 「悪い。で、何?」 できれば、あまり話しかけないで欲しい。 ひとりがいいから。 面倒だし、面倒そうだし。  
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

558人が本棚に入れています
本棚に追加