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「お前、転校生だろっ?」
「そうだけど……」
「俺も、3日前にここに転校して来たんだ!!だから、お前より3日も先輩だぞっ!!」
3日しか違わないし。
先輩も何もあったもんじゃないと思う。
ジトッと見てたら、ニカッと笑い返された。
……空気読まない奴は嫌いだ。
「俺は、愛崎 恋(あいさき れん)。今日からよろしくなっ!!」
「……」
差し出された手は握手を求めるものだろうけど、俺はする気はない。
ひとりで握手してたらいいと思う。
何それ寂しい人みたいな感じで、笑えるし。
想像して、思わずニヤッと笑ってしまった。
それをモサモサくんに見られて、慌ててそっぽを向いたけど、もう遅い。
ただでさえ怖いって言われるんだ。
ニヤニヤ笑ってる顔なんて、さぞかし怖いに違いない。
別に怖がらせたい訳じゃないし。
「お前笑うと――っ///
な、なぁ、名前何て言うんだっ?!」
「……」
「俺が聞いてるんだから、答えなきゃダメなんだぞっ!?」
前言撤回。
モサモサくんには嫌われていいかも。ウザいし。
何故、お前に聞かれたぐらいで答えなきゃいけないんだ?
お前に何の権限がある?
そう言いたいけど、平和が一番。
だから、黙って無視する。
視線は門に向け直して。モサモサくんが絡んで来ても、無視。
「なぁ、教えろよっ!!」
「……」
「教えろってば!!」
「………」
この門どうやって開けるんだろうな…。
早くこの状況から逃げ出したい。
この状況から逃れられるなら、門を壊してしまいたい。
でも、高そうだから嫌だ。
できれば、壊すのは避けたい。
誰か開けてくれないだろうか?
そう思ったのが間違いだった事を、俺は数秒後に知る。
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