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「でもなぁおばあちゃん、地獄って本当に地獄なんだ。
毎日殺されて、次の日にはまた殺されて、その繰り返しなんだよ。
……優さんがまだおばあちゃんのこと覚えてるかすら怪しいもんだ」
おばあちゃんの目が涙で曇ったように見えた。
胸の奥の方が重くなるのを感じる。
「私は優さんの所へ行きます。
約束したから……」
なんでこのおばあちゃんはこんなに頑固なんだろうか。
おばあちゃんも地獄になんか行けば毎日殺されて、次の日も殺されて。
……そうなってしまうのに。
優さんは本当にひどい男なんだろ。
優さんのこと聞いた時の情報部の渋い顔ったらなかった。
――いっそ赤裸々に言ってしまうか。
おばあちゃんの嬉しそうに恥ずかしがる顔を見ながら言えるのか、俺は。
「じゃ、おばあちゃん」
案の定口から飛び出たのは全く違う言葉だった。
「あと1日待って。
俺が今の優さんを見てくるから」
しょうがない。
どうせ最後なんだ。
地獄位見てきてもいいじゃないか。
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