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「いつ見てもでかいな」
片倉が関門を見上げながら呟く。
「そして相変わらず悪趣味だよなァ」
鼻にしわをよせて関門から目をはなす。
すぐ近くに職員がいるのにお構いなしだ。
「咲片と片倉だ」
関門のすぐ近くの受付に座っている男が嫌そうな顔をするが、無視して通り過ぎる。
俺には前科があるため、地獄の奴らには嫌われている。
まともな対応を期待する事は出来ないから、俺は基本的にここの奴らに道を聞かない。
強いて聞くなら
「おっ咲片じゃねぇか」
鬼にだろうか。
赤鬼の印である赤いキャップを被った鬼が話しかけてきた。
キャップから短い金髪がはみ出している。
一見すると優男のようにも見えるが、歴とした鬼だ。
「どうしたんだ、また一発やりにきたのか?
お前も一緒にやると楽しいんだよなぁ」
ニヤニヤしながら話しかけてくるくっきりとした緑色の目をにらむ。
「俺だって暴れたくて暴れるんじゃない。
それに今回は観光じゃなくて仕事にきたんだ」
「ほーぉぉ
さすが高給とりはお仕事熱心だな」
わざと感心した声をだす赤鬼にため息をつく。
「人探しだ。
優さんを探している」
「佐藤優だ」
横から片倉が口を出してきた。
こいつの事務所に行って仕事の話をするときに優さんという名前は教えたが、フルネームを教えただろうか。
まさか調べたのか。
「佐藤優かよ」
赤鬼が臭いものを嗅いだ犬みたいな顔をした。
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