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──午前4時23分。
御臨終の一言と共に泣き崩れる遺族を見るのは、いつだって辛いものだ。
おばあちゃん、と泣きわめく坊やの頭を撫でて抱きしめて、謝りたいような心境になる。
「私はこれから、どこに行くんでしょうか」
隣に立つおばあちゃんに目を向ける。
白髪が似合う、優しそうな人だ。
「うん、そうだな。
どこに行きたいんだ」
このおばあちゃんは生前思いやりに富んだ人で人望もあったようだし、どこにでも行けるだろう。
どの宗教に属していたのかは知らないが御浄土、天国、どこでも行けば幸せに過ごせる。
「優さん、優さんのところへ行きたい」
ん?なんだって。
数回目をしばたく俺を見つめるおばあちゃんの顔は、真剣そのものだった。
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