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「大体、死ぬ時に約束したっていったってそんなの嘘だろう。
優さんは渡り鳥で泊まった先で女に薬盛られたんだ。
おばあちゃんと約束出来るわけないだろう」
「いいえ、会いにきてくれました」
「……え?」
「優さんは会いにきてくれました」
有り得ない有り得ない。
別の場所で死んだ男が会いにくる?
最早ホラーオカルトの類だろう、それは。
「あなたに似た人が優さんを連れてきてくれました」
……同業者か。
それなら有り得なくもない。
十分有り得る。
でもそれをやるのは、タブーだ。
最低でも謹慎二ヶ月。
しかも地獄行のヤク中を生きている人間に会わせるなんて、減棒じゃ済まされないだろうに。
誰だそんな面倒な事をしでかしたのは。
「優さんは何でおばあちゃんに会いにきたんだろう?」
おばあちゃんは少女のように頬を染めた。
「ちーちゃんが一番好きだったからだって言ってくれました。
ちーちゃんが大好きだからって」
わからない。
優さんは何がしたかったんだ。
薬で頭だけ昔に戻ったとか?
死んだ後まで優さんに尽くすなんて、おばあちゃんに余りにもひどいじゃないか。
全く、有り得ない。
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