プロローグ

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 俺、高比良戌亥(タカヒライヌイ)の高校生活は、同居しているメイド兼美少女生徒会長を起床させ、着替えを手伝い、お姫様抱っこで優しくホールドしたまま通学する場面から始まっていた。  何故そのような事態になるかは単純かつ明快。  件の生徒会長、藤澤真央(フジサワマオ)は自分の意思で歩くことがないからである。  だから、嬉しさと恥じらいを同時に噛みしめながらも、俺は真央を抱きあげたまま通学路を歩いていくのだ。  いや、歩いていくはずだった……と訂正すべきだろう。  それもこれも全部、新たに参入してきた三宮茄子という女子生徒の仕業だ。  生徒会の一員で、ポジションは書記。  栗色の髪と丸眼鏡が特徴でどこか臆病な感じの乙女が、愛する女子を抱き上げるという最高のひと時を根こそぎ奪い取っていったことは絶対に忘れない。  三宮は俺の屋敷における非常勤メイドとなるとかこつけて真央を独占している。  この女子生徒は夜が更けるまで生徒会長から離れようとはしないのだ。  俺が休むように命令すると「非常勤メイドとして、さわちゃんの面倒を見るのが私の使命ですから」と一蹴されてしまうのが常である。  正直に物申すと、俺は三宮茄子に嫉妬していた。  いや、現在進行形で妬いているといえよう。    
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