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「ふふっ……高比良さんは悪い子ですね」
俺がテレビのリモコンを駆使してチャンネル変更をした時である。
何者かの両手が俺の首に食い込んだ。
ぐ……苦しい。
なんだ、この状況は?
俺はただ、リビングのソファで仲良しの二人が寝息を立てている間にテレビを見ようと思っただけだ。
その途端にこのありさまというのは、いくらなんでも理不尽ではなかろうか。
呼吸ができない状況で、部屋をくまなく見渡す。
窓もドアも閉まっている……つまり外部から強盗が侵入したという線は薄い。
つまり犯人は三宮だ。
相手は後ろから回り込んで俺の首に爪を立てている。
これは歩くことができない真央には不可能な芸当だ。
まあ、消去法を突き詰めていっただけではあるが、生命の危機で切羽詰まった状態からこの推論を導けた俺は大したものだと思う。
しかし、解せない点が存在する。
俺がどうして絞殺される必要があるかというところだ。
まずは会話する必要があるだろう。
俺は三宮の両手の関節を握った。
そして、加減をしながらゆっくりと両手という名の凶器を押しのける。
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