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「貴方が真実を悟る前に……気絶させてみせます! 安心してください。死なせはしませんから」
俺に飛びかかる三宮。
ひたむきに攻撃を繰り返す姿には心を打たれるものがあるが、こっちもおとなしく倒されるわけにはいかない。
「それが嫌ならここから出ていってください!」
「ふざけるな! 俺を絞め殺そうとした女を真央と同じ部屋に置いておけるものか!」
全力で主張した後にソファを見やる。
俺が片思いしている女性は、寝息を立てて気持ちよさそうだ。
幸せそうでなによりである。
今は何時だろうか。
ここで三宮の襲撃を受けたのは、俺が晩飯を作ろうとする前。
確か、二人に今日の献立についてリクエストをしてもらうために厨房から舞い戻ってきた頃には時計が七時五分前だった。
すなわち本来ならば真央と三宮がゴールデンタイムとやらの番組を見る直前だ。
『今日のゲストは我が町にやってきたローカルウィッチ! キュートな表情と魅惑のナイスバディというミスマッチで周囲を虜にする美女! 那須原まろんちゃんだぁあああああああああ!!』
俺の状況を微塵も気にする様子もない司会者のナレーションが響く。
テレビを見ると、ハロウィンをイメージした可愛らしいコスチュームの乙女が微笑んでいた。
真央には劣るものの司会者の賞賛には共感できるほど魅力的ではある。
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