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「何を……しているんだい?」
「これを見て何をしているって聞くのかい、君は?」
僕が彼と話すのは、これが初めてだった。
僕が通う高等学校の屋上、貯水タンクで死角になっている場所。
そこに、彼は屈んで下にあるグラウンドを見ていた。表情は、夕陽を受けた長い前髪が作る影のせいで、よく見えない。
「そうだな……死のうとしているんだよ、名も知らない同級生さん」
彼がタチの悪い冗談としか思えないことを話す。僕を一瞥してタイの青色で何年か把握したようだ。目は合わせずに彼は、下を再度見やる。下を見ることに、死ぬことについての関心が強いのだろう。
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