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ナンパかなと思いながら声の方を見ると、占いの看板を掲げた机に座った女がイズミを見ている。
『なんだ。客引きか』
さっきはいなかったように思うが、気付かなかっただけだろうか。
イズミは占いなどに興味ない。
無視して通り過ぎようとしたイズミへ占い師は言った。
「君はこれからも事件に巻き込まれる」
イズミは自分の事を知っているのかと、占い師をよく見た。
今時こんな格好の占い師がいるのかと思った。
頭には黒いレースのベールを被(かぶ)り、口元はベールの共布(ともぬの)で覆っている。
目しか見えない上に、大量の付けまつげ、目の周囲は真っ黒いアイラインがひかれている。
そのせいで人相が分からない。
体は黒いフリルのドレスに、大判のケープを羽織っている。
ただのコスプレマニアにしか見えないが、料金を取って占うのなら、本物なのだろう。
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