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マダム・タラッサはタロットカードと水晶で占いをした。
占う時には机の上で白檀(びゃくだん)の香を焚いた。
その爽やかな甘い香りをイズミは今でも鮮やかに思い出せる。
イズミはまだ子どもだったので、「子どもはみない」と、占ってもらった事はない。
マダム・タラッサはイズミの顔を初めて見た時、「オウッ」と天を仰ぎ、憐れみを顔に浮かべた。
そして次に会った時、「この石を肌身離さず持ち歩きなさい。きっとあなたを守ってくれるでしょう」と、イズミの手に親指ほどの小さな紫色の半透明の石を握らせた。
『あれはどこへやっただろうか?』
イギリスから日本へ戻る時に、段ボール箱へしまったままの筈。
イズミは帰宅したら探してみようと考えた。
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