第一章 別れ

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ビルの陰へ来ると、イズミは迎え撃った。  大切な人をことごとく失う自分。  守るものなど無い自分。 イズミに喧嘩を躊躇(ためら)う理由はない。 「来い!」 イズミは挑発した。 追い詰めたと思ったのに、逆に闘志満々で向かってきたイズミに不良達は驚いたが、「おもしれえ」と、戦う事にした。 「ソレッ」 不良達が次々繰り出すパンチをイズミは全て避け、腕を掴んでズドン、ドシンと投げ飛ばした。 イズミはパンチやキックをしない。何故なら怪我させてしまうからだ。 「ウワ!」 「クソ!」 不良達は投げられても体勢を再び整えて向かっていくが、やはり軽く投げ飛ばされてしまう。 パンチは手で弾かれるし、ボディーを狙ったミドルキックは片膝で防御されるし、ハイキックは屈まれて空振り。 右からの攻撃も、左からの攻撃も成功しない。 どうしてもイズミを倒せない。
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