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ビルの陰へ来ると、イズミは迎え撃った。
大切な人をことごとく失う自分。
守るものなど無い自分。
イズミに喧嘩を躊躇(ためら)う理由はない。
「来い!」
イズミは挑発した。
追い詰めたと思ったのに、逆に闘志満々で向かってきたイズミに不良達は驚いたが、「おもしれえ」と、戦う事にした。
「ソレッ」
不良達が次々繰り出すパンチをイズミは全て避け、腕を掴んでズドン、ドシンと投げ飛ばした。
イズミはパンチやキックをしない。何故なら怪我させてしまうからだ。
「ウワ!」
「クソ!」
不良達は投げられても体勢を再び整えて向かっていくが、やはり軽く投げ飛ばされてしまう。
パンチは手で弾かれるし、ボディーを狙ったミドルキックは片膝で防御されるし、ハイキックは屈まれて空振り。
右からの攻撃も、左からの攻撃も成功しない。
どうしてもイズミを倒せない。
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