第一章 別れ

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関取タイプのデブが、仲間を制して威勢よく叫んだ。 「俺がやる!」 こいつはかなりでかい。 この体重で体当たりされたら大ダメージをくらってしまうとイズミは警戒した。 「ウオオオオ―ッ」 ドスンドスンと地響きを立てて、関取が向かってきた。 関取は勢いよく肩を突き出して、タックルを仕掛けた。 「デエイ!」 落ち着いてタイミングを見計らったイズミは、ぶつかる寸前でヒラリと避けた。 一直線に向かってくるので、分かりやすい。 イズミはすかさず関取の後ろに回り、「ソレッ」と、膝の関節の後ろを軽く蹴ったら、そのまま前のめりにバタンッと倒れた。 「トシ!」 仲間が叫んだ。 関取が軽々やられて驚いている。 トシという呼び名の関取は体が重い分、逆に簡単に起き上がれないから、地面の上でもがいている。 「まだやるか?」 イズミは不良達へ言った。 「何だ?こいつ」 不良達はイズミを知らないので、その強さに吃驚した。
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