第一章 別れ

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「あいつらを捕まえて下さい」 「君も暴力を振るっていただろう?喧嘩両成敗だ」 「五対一ですよ。正当防衛です」 「じゃあ被害届を出すかい?見た所全然怪我していないようだけど」 警官はイズミを見て、被害なしと判断している。 怪我をしていない以上、正当防衛の証明も面倒だ。 あの山道カーチェイスの犯人もまだ捕まっていない。 いろいろ忙しいので、イズミは被害届を出さなかった。 イズミが解放されると、「だから言ったでしょう」と、先程の占い師が寄ってきた。 「私が丁度通りかかったお巡りさんに伝えたの」 全部見ていたなら、イズミは悪くないと味方をしてくれてもいいのに。 「あなた、今のままではいずれ死ぬわよ」 「人間はいつか死ぬものですから」 「屁理屈言うわね」 占い師は投げやりなイズミの態度を気の毒に思った。 「私の占いの館にきなさい。もっとみてあげるから」 「わざわざ館に、ですか?」 館などと言っているが、要するに自宅へ誘っているのだろう。 『やっぱりナンパ?それともカモネギ扱い?』 いくらイズミでも、名前も顔も年齢も不詳の女の家になど行かない。 ケープとフリルで体形も分からない。 服を脱いだら男かもしれない。 これで警戒せずにいられるだろうか。 「結構です」 イズミは断わった。
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