第一章 別れ

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イズミは保孝へ訊いた。 「それは・・・、何故ですか?」 保孝は一回「フーッ」と、深く息を吐き、ネクタイを少し緩め、言わなくても分かるだろうという顔をした。 それからイズミの質問に答えた。 「君はとてもいい青年だ。しかし君といると、ヒロは長生きしないような気がして、親としては不安でしょうがない。先日も危うく海に落ちて死ぬところだった。毎回このような状況になっては、親として生きた心地がしない。だから分かってくれ。ヒロを忘れて欲しい」 先日ヒロとドライブ中に、崖から車ごと転落した事を言っている。 「あれは私が無謀運転をしたくてしたのではなく、ヒロさんを危険な目に遭わせたくなくて、やむなくした事です」 結果危険な目に遭わせてしまったが。 あの後レスキュー隊に助け出されるまで、生きた心地がしなかった。 イズミは警察、保険屋の対応に追われ、さらに父の怒りを鎮めるために随分骨を折った。 木にぶつかった衝撃で車のガソリンタンクは破損し、ガソリン漏れを起こした。 ブレーキまわりもやられ、父は廃車にした。
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