第一章 別れ

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「君が悪いとは思っていない。ヒロからも状況は聞いている」 保孝が気にしている事は、誰が原因かではない。 いつかヒロが愛知セリや門倉佐和子のように、悲惨な目に遭うのではないかと怖れている。 イズミもかつて、もし自分と愛し合った人が死ぬ運命にあるのなら、もう誰とも付き合えないと考えた事もあった。 ヒロも愛知道夫に殺されかけた。 犯人の愛知道夫が捕まって、すっかり安心していた。 保孝は、「私は別に運命論者ではないけれど」と前置きした上で、「君は事件に巻き込まれる運命だ。君だけでなく、周囲まで巻き込む運命だ」と言った。 ―運命。 こればかりは自分でもどうしようもない。 セリや佐和子だけでなく、中川純や育中琴音の顔も浮かんだ。 琴音もイズミと付き合っていなければ、悪い奴らに利用されないですんだ。(琴音家出事件の章 参照) あれもそうなるか。 神社で御払いすれば少しはマシになるだろうか?
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