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「なっ、なにやってんだ、このガキ!?」
良吉の咄嗟の行動に男達は目を見開く。
それもそのはず。
こんな巨大な門に腕を挟まれたにも関わらず、良吉は悲鳴一つあげない。
「弥彦兄ぃ! 弥彦兄ぃ! いるんだろ!?」
驚く男達に構わず、良吉は門の隙間から屋敷に向かって叫ぶ。
「阪本のおっさんと平野のねーちゃんが弥彦兄ぃのこと待っちょるんさ! 弥彦兄ぃが行かなきゃ意味がないんさ!」
「このガキ、いい加減にしやがれッ!」
刺青の男は一喝すると同時に、勢いよく門を開けて良吉を弾き出す。
「ぐっ」
背中から地面へと倒れた良吉に、刺青の男は容赦なく襟首を引っ掴み上へと締め上げる。
「調子乗んなよ、クソガキ」
「う、ぐ……」
良吉の足は地面を離れ、振り払おうともがくが体格差から抜け出すことができない。
痛覚が無い良吉だが、締まっていく喉に表情が苦しみに歪む。
「……!」
風香は良吉を助けようとしたが、スキンヘッドの男が風香の前に立ちはだかる。
「わりぃがお嬢ちゃん。大人しくしねぇとタダじゃ済まねぇぞ」
口端をつり上げて風香を見下ろす眼差しは敵意に満ちていた。
相手が子供だろうと女だろうと彼らには関係ない。
「くそっ……風香に手を出したら、オレが許さ……ぐぅっ」
良吉の言葉を切るように刺青の男が更に襟首を締め上げた。
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