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突然の事に宗形は防御することができず、直撃した身体が衝撃で傾ぐ。
生身の人間なら今の衝撃で体勢を大きく崩すだろうが、宗形は跳び退り素早く体勢を――
「ちょっとすみません――ね!」
――直される前に、車の運転席から飛び出した和馬が地を蹴り、そして、宗形の胸に渾身の蹴りを叩き込んだ。
「ぬ……っ!」
その身体は駐車場の端まで吹き飛び、積まれていた三角ポールの山を巻き込みながら崩れていく。
「ちょ、ちょっと楠木様!」
「ほら、いいから逃げよう逃げよう」
「む、無茶苦茶ですって……」
顔を真っ青にする倉橋を他所に、和馬は相変わらずのんびりとした口調で逃走を促す。
一瞬呆気を取られていた秋稔だが、すぐに頭を切り替え、麻酔銃を片手に車から降りる。
それに続くように倉橋もパソコンを抱きかかえながら降り、七海も環の手を取って車から一緒に出た。
「どうするのよ!?」
「車はもうダメだ! エレベーターで直接一階に降りる!」
秋稔の咄嗟の判断は実に賢明だった。
飛鷹達から連絡が来ない以上、二階に降りるのは自ら死地に飛び込むようなもの。
「こっちだ!」
秋稔はそう叫んでエレベーターの方へと駆け出そうしたが、その瞬間背後で鈍い音が響く。
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