第一章 嫁さん貰いました

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おいおい、神様・・・。 俺はただの嫁さんを望んだだけなのに何とんでもない物送り付けて来るんですか、俺はただの力の無い村人ですよ。 そう思いながら周りを見渡すと広場には彼女と俺の二人だけしか居らず、他の村人は建物や木の影から此方の様子を恐る恐る見ているだけだった。 誰も助けてくれないのか・・・。 そう思った瞬間、彼女と俺の丁度中間位に一人の男が突然現れた。 「辞めるのだ、フィリス・・・。辞めぬなら我の娘だろうと・・・容赦はせぬぞ」 そう口にした目の前の男からはローブの女以上の魔力と殺気が漏れ出した。 「・・・嘘・・・・・・お父・・・さま」 目の前の男はこいつの父親なのだろうか、それだけ言って突き出していた手を下に降ろした。 「・・・まぁ良かろう。ところで、お前がティオ・ブラントか。なるほど、確かに何処からどう見てもただの村人だな」 そう言って来る男からは先程の殺気は見る影も無く物珍しそうに俺を見て来た。 「・・・貴方は、誰ですか?」 精一杯の声を振り絞り出したが俺はただそれだけしか聞き返せなかった。 「我か、そんな事はどうでも良い・・・。この村の村長の所へ我を案内しろ、そこで訳も話す。そんな所に突っ立ってないでフィリスも早く来い」 そういうとその男は漆黒のローブを何処からか取り出し着込んだ後顔を隠した。 「村長の家は・・・こちらになります」 後ろの方から声が聞こえると村人の一人が道案内を買って出てくれた。
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