第一幕 祓い屋 前編

2/26
28251人が本棚に入れています
本棚に追加
/581ページ
「――ねぇねぇ、ナツメあんた視えるんだってね」 うるさい。 「ねぇ、どんなふうに視えるの!?私の後ろにもいる……?」 やめてよ。 「そーゆうのってやっぱ怖かったりするの?……なんかさぁ、普通の人に視えないものが視えるなんてすごいよねぇ」 何がすごいの。 「どうして黙ってるの?……あれ?もしかして気分悪くしちゃった……?でもさァ、ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃん、お願い!誰にも言わないから!」 そんな事訊かないでよ。 やめて。 やめて。 やめて。 やめて……。 お願いだからそんな目で見ないで。 わたしは、見せ物なんかじゃないし、珍しいものなんかでもないのに。 いっそ、なくなってしまえばいい……。 こんな力。 わたしは、目立たないように、ひっそりと生きていたいだけなのに。
/581ページ

最初のコメントを投稿しよう!