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「ついてくんなよ」
いつもと違う雰囲気の秋奈と冬吾、通学路の道を無言で、そして何故かナツメを置いていくように足早に歩を進める二人の後を、違和感を覚えながら必死についていけば。
やっと足を止めてくれた冬吾が信じられない言葉を口にした。
「なん……で、そんなこと」
辛辣な言葉が突き刺さったはずなのに、それでも必死に笑おうとすると。
「なんでって……、あんた今まで気づいてなかったの?あたし達がずっと我慢してきたこと!あんたに振り回されてたってこと……!」
憎しみを込めた眼差しでこちらを振り返る秋奈。
ナツメの喉がぐっと鳴る。
「わたしが、二人を振り、回して……」
「そうでしょ!?あんたが気がつかないとこであたしらどんだけ嫌な思いしてるか……、あんたはいつも自分ばっかりが辛いって顔してるけど、そんなの全然違うから……!」
「疲れたんだよ俺ら、お前に付き合うの……、正直言って、お前、マジめんどいんだわ……」
「ほんっと……なんであたし達がいつもあんたを庇わなきゃいけないの?あんたもなんであたしらに守られてばっかいるのよ?考えたらなんか馬鹿馬鹿しくなってくる……」
「やめてよ、そんな……二人とも、わたしは――」
胸が締め付けられる、けれど二人は今までに見たこともないような顔をしてこちらににじり寄ってくる。
「もうあんたのお守りなんてうんざりよ」
「だからさ、さっさと俺達の前から――」
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